自己点検ツールに取り組むことになったきっかけは?
組織として言いにくさが内在しているのでは。。。?と感じていた。
県社協の研修に出た時にチラシをもらって自己点検ツールのことを知りました。
これまで職員本人のやりがいや意見を知るためにグループウェアなどを使っていたのですが、なかなか意見が上がってこなかったのです。個別に話をすると意見は出てくるのですが、全体会議などの場ではなかなか出なくて。発言をすると責任が生まれるとか、重荷に感じるとか,組織として言いにくい環境になっていたのかと思いました。
当法人は 40 数名の小さな法人ですが、とくに管理者と職員で仕事に対する考え方に大きな隔たりというか、違いがあったので、それぞれの職員が様々な提案をして、責任を持って欲しいと思っていました。
個別に食事などに行って話をすると意見は出るので、関係性はできていたとは思うのですが、全体で意見がなかなか出ないので、自己点検ツールの無記名性というのであれば意見が上がってくるのでは?と考え導入を決めました。
自己点検ツールの導入を決めた橋本 周治さん。小規模な法人でも取り組む価値があると話す。
実際に実施してどうでしたか?
人間関係と経営の密接した関係が知れた。
管理職はみんなショックを受けていました(笑)正直な結果が出たので、嬉しくもありましたけどね。管理者の会議では、信用されていないと言われた事業所もあれば、一体感があると言われた事業所もあり、それぞれのカラーが出たなと思いました。それから、うまくいってる事業所はどういうことをやってるのかを話し合い、参考にしていろいろ改善できると思いました。
そして、なるほど!と思ったのは関係がうまくいってる事業所は、経営的にもうまくいってるということ。やはり人間関係などがうまくいっている事業所は、経営的にも良いんですね。それが知れただけでも、自己点検ツールをして良かったと思いました。
チーム力・組織力をしっかりと築く必要があるし、働きやすさなども同時に考えていかないと今後生き残れないと思いました。
実施後に取り組んだことや工夫したことはありますか?
ツールを使ってしっかり評価できる体制に。
フォローアップ研修の先生が来てくださって、持ち味カードを使って分析し、自分たちの持ち味って何?などを考え,職員たちをどう認めていくのかというのを進めていきました。研修の結果を活かし良いところは褒める、訂正するべきところはしっかりと伝えるというふうに努力をしています。給与面は市の給与条例をそのまま適用していましたが業績評価がなかったので、頑張った人にはしっかりと評価できるように、賞与の仕組みを変え業績評価をプラスするようにしました。勤続年数で評価シートの種類を分け、本人と管理者で評価し合い検討・反映するようにしました。すり合わせすることでお互いの認識を合わせることができ、本人の課題も見えるようになりましたね。
フォローアップ研修で使用した「持ち味カード」。10 セット購入し、評価や分析に活用している。
取り組みの中で苦労したことは?
職員も管理者も問題が浮き彫りに。
自己点検ツールは WEB 入力なので、職員の負担も少なく、導入に問題はなかったですね。その後の業務改善をしていく中で多少の反発などもありました。自己評価が高くて他者評価が低い場合は、なかなかすり合わせができず、不満がつのっていくこともありましたが、続けることが大事だと思います。人事異動などもありますので、そこでまた新しい評価が生まれるかも知れませんし、管理者の方に問題があるのかも知れませんしね。お互いに気づきが生まれればと思います。
コミュニケーション力が必要な一般のお客様も多く来店する販売事業所。
実施してわかったことは?
採用の時、重視する点がわかった。
先ほども言いましたが、関係性と経営が直結していることがわかったということと、評価の高い職員の傾向がわかったということです。逆をいうと評価の低い職員の傾向もわかったということなのですけど。このような傾向が見えたことで、これからの職員採用で重視する点がわかったことが大きいです。特徴としては、業績を上げている人は、よく話を聞き、素直な人が多いです。努力して、自己研鑽をしっかりとしている人です。客観的に物事を見て、自分の家族に自分の働いている事業所を紹介できるかどうかがカギですね。逆に紹介したくないという人は、仕事を引いて見ていますし、対照的ですね。
うちは研修に力をいれています。「自分たちがしていることは間違ってなかった」とわかるのは,外部の第三者から評価してもらうことが,一番自分の中にストンと落ちてくると思うんですね。海外研修なども行ってもらって先進地で認めてもらえれば自己肯定ができるので、そういう取り組みを組織として続けていければと思います。
自己点検ツールは気付きのためのツールで入り口ではありますが、職員本人の働き方の気付きや行動が徐々に変わってきたなと思います。自分の動きの方向が正しかったと気付けたのかなと思います。
笑顔で働く職員。動きの方向性を認識しているからこそ、自信を持って仕事に取り組むことができます。
今後の目標や課題は?
オープンフリーな風土づくりを。
コロナ禍でなかなか思うように進められていませんが、5 年 10 年を見据えて、どうやったら自分たちが地域貢献できるかの「未来会議」をしていきたいですね。人の意見を否定せず、どんなことでも発言できる全職員が参加できるオープンフリーな場を作りたいです。
就業時間内で全員が参加してやるのは難しいので、オンラインなどを活用しながら録画しておいて後から確認できたりとか。。。そのような体制を作っていきたいです。そして自由に活発に意見を言い合うことができる、尾道のぞみ会の風土を作っていきたいですね。
未来に向けて組織内でしっかりとコミュニケーションをとっていくようにしている。
取り組みに関わってくれた職員さんの感想
他の事業所の様子がわかるので法人全体の関係性の向上に。
自己点検ツールを使うことで、今まで言いにくかったことが言いやすくなり、そのことでいろんな意見や考えがわかってよかったと思います。ツール自体は無記名なので、正直な意見を言い易かったように思います。ツール実施後は、管理者とミーティングをしっかりとするようになりました。仕事内容の改善点がわかったり、それぞれの部署間のすり合わせもできたり、お互いがお互いをフォローできる関係になったように思います。ですので、今はいざという時に協力し合える安心感があります。以前は意見をなかなか言いにくかったのですが、管理者もこちらを気にかけてくださっているのがわかるので、少しでもコミュニケーションをとるようにしています。以前は他事業所の様子があまりわからなかったのですが、今は他事業所の方ともコミュニケーションをとり、事業所内だけでなく、法人全体の関係性がより良いものになれば良いと思います。
自己点検ツールをきっかけに職場の環境も変わり、ますます意欲が出てきたとはなす、職員:平賀飛鳥さん。
社会福祉法人 尾道のぞみ会
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就労移行、就労継続B型、グループホーム、生活訓練、ショートステイ、特定相談、一般相談、地域活動支援センター |
従業員数 |
41人(2020年11月現在) |